活動報告@同志社山岳同好会

同志社大学の公認団体【同志社山岳同好会】の活動などを報告しています!

個人山行・穂高岳

 8月5日~8月8日(3泊5日)で、涸沢・奥穂高岳に行って参りました。
参加は4回:緒方・饗庭、3回:綱田、1回:海老名の4名のパーティです。
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8月5日(火)JR京都駅~JR高山駅~(バス)~上高地ー徳沢(1.5P)


初日はテストの関係で、京都駅11時半発の新幹線で米原まで行き、在来線に乗り換え、岐阜からは特急「ワイドビューひだ」号で高山駅まで向かう。今回は「夏+JR=青春18切符」という定番の公式を破って新幹線と特急を利用する。鍋やら食料やらが満載状態の60Lザックを、あちらへよいしょ、こちらへどっこらせという手間がほとんどなく、楽チンである。特に「ワイドビューひだ」は自由席もスカスカで、実に快適なり。平日午後(天気は下り坂)に、高山までいこうという奇特な人間はきっと少ないに相違ない。
高山駅からは濃飛バス平湯温泉へ向かう。現地で確認して見たところ、高山バスターミナルからは岐阜/名古屋行きの高速バスが確実に走っているとのことであった。のみならず、高山から京都・大阪までを約5時間で結ぶ高速バスまで用意されているではないか。上高地側から北アルプスにアプローチするなら岐阜側から入ったほうが色々と楽そうだ、と頭の片隅に置きつつバスのトランクにザックを押し込む。
車窓の外で尾根ごとに雨と曇りが入れ替わるのを眺めつつ、平湯温泉上高地へのシャトルバスへ乗り換えて上高地バスターミナルについたのが17時30分頃。時を同じくして雨が降り出す。登山届け提出所のおじちゃん曰く、ここ2~3日は夕方になると降っては止み、降っては止み、を繰り返しているという。「梅雨に戻ったみたいな変な天気だなぁ」とのこと。その言葉通り、雨具を着てすぐに雨は止んでしまった。
雨に煙る上高地も風情があるなぁと言いながら、河童橋を横目で見やり、徳沢方面への林道に向かう。もともとは小梨平での幕営を予定していたが、奥穂高岳へのアタックチャンスを増やすために、この日のうちに徳沢まで前進することにした。徳沢の夜も断続的に雨が降り、バスターミナルのおじちゃんのいう通りであった。

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ついて早々雨。


8月6日(水)徳沢04:30ー横尾05:45ー涸沢テント場09:00

昨晩の雨は止むが、薄曇りの中、朝の林道をすすむ。横尾では中高年の団体さんがおり、我々の向かう穂高方面と、槍ヶ岳方面に分かれていた(総勢20数名+ガイドさん2名ほど)。雲に覆われた屏風岩を左手にながめつつ、林の中を小一時間ほど歩くと本谷橋につく。はじめは下山者とのすれ違いは多くなかったが、本谷橋以降で急におおくなる。道はメジャーコースということもあり、とても整備されていて歩きやすい。また本谷橋から先は徐々に木立の高さが低くなり、涸沢直前では人の背丈程度になる。樹々のバリアがどんどん下がって行くのも手伝ってか、やや雨足が強まってきた。涸沢テント場につく頃には結構な本降りとなっていた。テントを展開して、取りあえず休憩。
あわよくばこの日のうちに奥穂高へ、と皆と言っていたのだが、とてもそんな天気ではなかった。午前中は雨雲の中であったが、午後からは曇り→風→雨…というサイクルをほぼ一時間置きに繰り返していた。テント場についてからはかなり暇になってしまったので、雪渓を利用してプリンを作る(写真は取り忘れ…)。天然の冷蔵庫があるからできるわざ。


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横尾にて。奥には団体さん。





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ガスの中の屏風岩

8月7日(木)BC発05:40ー穂高岳山荘08:10ー奥穂高岳09:00―BC11:50

この日も朝は雲の中だった。だが前日とは違い、風も穏やかであり、正面には蝶~常念山脈がはっきり見えていた。涸沢カールを仰ぎ見れば、奥穂高~前穂高に延びる吊尾根が雲の切れ間に薄っらと顔をのぞかせている。天候は安定するとみて、ザイテングラードの取り付きへと向かう。他のパーティも三々五々テント場を出発していた。同じ奥穂高方面に向かうパーティは、他大学の山岳系クラブや高校生の一団、中高年のパックツアーなど色々である。
涸沢小屋のテラスを横切って灌木の中の道に入り、途中少しだけ残った雪渓を登り、砂利道ぎみのガレ場を行けばザイテングラードの取り付きは目の前である。ザイテングラードに入ってすぐに5m程度の鎖場トラバース、そこからは高度感のある登山道になった。途中にはハシゴが1カ所あったが特に問題なく通過し、穂高岳山荘直下に残った20m程の残雪道を越えれば白出のコルにつく。
10分少々休憩の後、奥穂高に向かう。山荘から突き上げる岩場は10分程度で通過できたが、金比羅トレにて高度感慣れしていて良かったと感じさせる。岩場の通過後は、少々ガレた道を40分ほどで奥穂高岳山頂(3190m)である。

帰路では、すれ違いや岩場を降りる時に待機することがしばしばあった。今回はあまり天候がよくなかったので、人数は少なめであったと思われるが、天候が良ければかなりの人数でごった返すだろう。こういった状況なら、すれ違いにかなり時間を要する可能性が高く、コースタイム通りにはいかないだろう。BCに帰ってしばらくは安定した天気が続き、荷揚げのヘリがせわしなく飛び回っている姿を間近で見ることができた。だが、14時以降は昨日と同じような不安定な空模様に逆戻りし、雷鳴が響いた時間帯もあった。

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常念岳方面。晴れている。






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奥穂高岳山頂にある、「日本アルプス鎮守府 穂高神社嶺宮」。周囲は残念ながら雲の中。


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涸沢小屋から奥穂高岳方面を望む(BC帰還後の一枚)。この山行でもっとも天気がよかった時間帯。


8月8日(金)BC05:00―05:40北穂高取り付きーBC撤収07:10ー上高地11:30

上高地ーJR高山駅ーJR京都駅

起床は3時頃と早めにし、北穂高へいくかどうか天候の様子見をすることにする。7日は早朝から向かいの常念岳方面が見えたが、この日はガスの中である。昨日と同じくように大陽が出た後に雲が飛ぶ可能性も考え、涸沢小屋の横から北穂高へ向かう登山道に取り付く。しばらく歩くが、明らかに天候が下り坂の兆候を示していたので、北穂高岳へのアタックは取りやめにする。少々残念であったが、週末にかけて台風11号が接近することも明白なので、BCを撤収して上高地へ下る。

総評

春頃からやって来た岩トレの成果が、様々な場面でしっかり反映された山行になった。岩場の個人レベルの動きに停まらず、それぞれのメンバーが周囲の状況を良く見て動けていたように思える。逆に言えば、金比羅トレ無しでは、余裕を持って動くことはできない山域であると痛感した。特に奥穂高岳に突き上げる部分においては(ルートの整備がなされているとは言え)れっきとした岩場である。完全に初めてでもやれないことはなさそうだが、危険性は格段に高くなると他のパーティの動き方を見ていて感じることは多々あった。多人数で行くべきではない山であるとも同時に思った次第である。
何はともあれ、無事に行って帰ってくることができた。北穂高に登れなかったのは残念であったし、何より奥穂高岳からの展望が見られなかった。また、機会があれば好天の時にいきたいと思う。

謝辞

最後になりますが、今回の穂高山行にあたっては、OBの方々から様々な形で支援をいただきました。ほぼ毎週のように岩トレ指導をして頂いたこともあり、無事に目的を達成することができました。お礼申し上げます。


11年度 緒方隼