活動報告@同志社山岳同好会

同志社大学の公認団体【同志社山岳同好会】の活動などを報告しています!

夏合宿(立山~上高地)

更新が遅くなりました。17年度の寺部です。
今回は8月25日~29日に実施した夏合宿(立山上高地)の報告です。

【山域】北アルプス(立山上高地)
【実施予定】8月25日~9月4日(6泊7日沈殿4日)
【メンバー】CL永井(15年度)、SL中野(16年度)、(以下17年度)寺部、太田、早川
【計画概要】
1日目:京都駅=富山駅=室堂~雷鳥沢テント場C1 (1.0P)
2日目:C1~室堂~一ノ越~五色ヶ原C2 (5.0P)
3日目:C2~越中沢岳~スゴ乗越小屋C3 (5.5P)
4日目:C3~薬師岳~薬師峠小屋C4 (5.5P)
5日目:C4~黒部五郎岳~三俣蓮華岳双六岳~双六小屋C5 (12.0P)
6日目:C5~(西鎌尾根)~槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳槍ヶ岳山荘C6 (6.5P)
7日目:C6~天狗原分岐~横尾~徳沢~上高地 (8.0P)
【行動記録】

1日目:8月25日

7:00 京都駅集合=11:40 金沢駅=13:00 富山駅=15:48 立山駅=17:30 室堂~18:10 C1 雷鳥沢テント場P1

 今回の夏合宿は出発前から波乱づくしでした。当初は23日出発予定でしたが、発達した前線が富山付近に近づいており、このままでは夏合宿を開始してもすぐに大雨のなか沈殿を数日間する羽目になるとの判断で出発が2日ほど延期に。
 そして25日出発当日。前日にメンバーが一人風邪を引き不参加になるも不安な天気の中、一路室堂へ。
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出発前京都駅にて

 しかし、この日も前線の影響で金沢が大雨に見舞われ、鯖江駅で一時足止めに。
 2時間遅れでの金沢到着後は富山・立山・美女平と乗り換えがトントン拍子で進み、なんと17時には室堂に。美女平=室堂のバス車中からの景色は大変綺麗で、これからの山行中に望む景色に対し期待が膨らみます。
 室堂バスターミナルで準備を済ませ、硫黄特有の匂いをかぎつつ速やかにC1の雷鳥沢に移動。移動中、目を凝らしながら移動したものの、残念ながら名物のライチョウには出会えず。

2日目:8月26日

6:43~7:28 室堂 P1 7:50~8:40 一ノ越 P2 8:50~9:20 龍王岳 ~ 龍王岳・鬼岳間コル P3 10:10~11:18 獅子岳 P4 11:30~13:10 C2 五色ヶ原キャンプ場 P5

 起床時刻に目を覚ますも、周囲からはフライとテントを叩きつける豪雨の音。あまりに激しさに、セットしていた腕時計のアラームの音を聴き逃すところでした。
 出発時刻をずらして2時間ほどテント内で待機すると雨音が静まり、外に出てC2・五色ヶ原に向け準備開始。
 室堂で給水等準備を済ませ、まずは立山との分岐である一ノ越へ。
 一ノ越では強風に見舞われレインウェアを着用。ここのまで強い風は初めてでレインウェアを着てても少し寒いくらいでした。また遥か遠くには笠ヶ岳や目指す槍ヶ岳の姿が。実際にその姿を自分の目で見るのは初めてであり、これからあそこまで歩くのかと思うと少し圧倒されました。
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一ノ越からの槍ヶ岳

 一ノ越を出発し龍王岳に差し掛かると遠くには本日の目的地である五色ヶ原が見えてきました。
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龍王岳にて

 左手にある黒部湖を見ながら進むと事前情報にあった雪渓に到着。新入生はここで軽アイゼンを使用するはずでしたが、事前情報と違って普通に歩ける状態だったので、急遽、雪渓を利用しての歩行訓練を実施。結構疲れました。
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雪渓での歩き方を教えてもらいました。

 鬼岳を登り五色ヶ原がいよいよ近づいてきたものの眼前には物凄い下りが。これを降りるのかと思うと凄いところに来たなぁという実感が。
 足場の悪い急な下りを抜けるとほぼ予定通りのピッチ数でC2・五色ヶ原に。
 こちらの方向に進む人はそこまで多くないようで、五色ヶ原は雷鳥沢と比べ、テント数がグッと減っていました。この日は遠くに見える槍ヶ岳に見守られながら就寝。
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五色ヶ原キャンプ場より


3日目:8月27日

C2 4:30~5:20 鳶山 P1 5:34~7:05 越中沢岳 P2 7:25~8:25越中沢岳・スゴノ頭間コル P3 8:35~8:50 スゴノ頭 P4 9:05~9:45 スゴノ頭・スゴ乗越小屋間コル P5 10:05~11:00 C3スゴ乗越小屋 P6

 この日は星空を見るために10分早く起床。空にはオリオン座を始めとして多くの星々がきらめいており、町中の夜空や起きてすぐ朝食の準備をするいつものテント生活では味わえない光景でした。早起きはなんとやらです。
 C2を出発し1時間ほど進み鳶山山頂に差し掛かったところでちょうど日の出に。残念ながら日の出自体は雲の関係で見ることが出来ませんでしたが、日の出と五色ヶ原のコントラストがいい雰囲気を醸し出していました。
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夜明けの鳶山から見た五色ヶ原

 細く長いアップダウンの稜線歩きをこなしてゆくと、ようやく越中沢岳の姿が。しかしその姿を確認してからも延々と登り続けていたため、途中から本当に近づいているのかよくわからなくなりました。
 越中沢岳の山頂では先程まで歩いてきた稜線や前日越えてきた山々、富山湾や白山、槍ヶ岳、そして本日の目的地と翌日越える薬師岳と見るものに事欠きませんでした。
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越中沢岳山頂より 赤い屋根のスゴ乗越小屋も写ってます!

 越中沢岳からスゴノ頭はコルを挟んでまさにV字。その下りは足場が悪く滑りやすかったため歩幅を小さく慎重に。逆にスゴノ頭への上りは所要時間こそ短かったものの急登で個人的にはかなりしんどかったです。
 スゴノ頭から来た方向を振り返り越中沢岳を見返すとよくここを通ってきたと自分でも少し驚きました。雨が降って無くて本当に良かったと少し安堵。
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スゴノ頭からの越中沢岳

 急な岩場の下りを抜けスゴ乗越小屋に。水場の水はとても冷たく美味しかったため、疲れた体に染み渡りました。またテント場から見える越中沢岳とスゴノ頭の組み合わせは圧巻でした。
 しかし到着後しばらくした所、SL中野が体調不良を訴え、体温を測ると38.0℃の高熱であったため、解熱剤を処方し、小屋で休ませることに。

4日目:8月28日

C3 6:35~7:17 P1 7:24~8:20 間山 P2 8:25~9:15 北薬師岳手前 P3 9:20~9:48 北薬師岳目前2832m地点 P5 10:08~10:29 北薬師岳 P6 11:09~11:37(14分休憩)~12:19 薬師岳 P7 12:43~13:28 C4 薬師岳山荘 P8

 朝になっても、体調を崩したSLの体温は38.0℃のまま。ここでCL永井が夏合宿の上高地までの行程を断念し、薬師岳を経て折立方面にエスケープ下山することを決断。またこの日の沈殿も検討されましたが、翌日以降の悪天候が見込まれたことや、一刻も早く下界で治療を受けたいとの本人の意向を踏まえ、本日中に薬師岳を超えて薬師峠を目指すことに。38℃の高熱の中、歩くことができるのは流石、経験値が違います。
 後で触れますが、この場所における判断は大変難しいものだったそうです。
 中野の荷物を皆で分配しスゴ乗越小屋を出発。この日は普段よりこまめに休憩を取りながら行動に。しばらく登り続けると一つ目の目印である間山に。間山山頂からはスゴ乗越小屋からは見えなかった遠くの山々が再び顔を出していました。
 間山を出発すると岩稜帯に。足を置く場所はもちろん、他の登山者が通ったルートやルートを示すマークなどを探すのに一苦労。大変だったし経験不足を思い知らされたけれども、それでも個人的には楽しかったです。
 また、しばらくすると解熱剤が効いてきたのか中野の体温は36℃台まで戻り、会話をしながら歩ける状態まで回復します。
 北薬師岳の途中で取った休憩場所から太郎平小屋や折立に連なる登山道、そして振り返ると自分たちの歩いてきた稜線上の登山道もはっきり確認できました。
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左:間山方面 右:折立方面からの登山道と太郎平小屋

 北薬師岳到着後、再び中野が頭痛を訴え、また過呼吸の症状も見られ、体温を測ると38℃後半の高熱。高山病を併発した疑いがあるため、CLの指示の下、銀マットを敷きフライをかぶせて横たわらせ、紅茶やアミノバイタル等を飲ませて休ませる処置を取りました。
 また最悪の事態も想定し、CLが太郎平小屋常駐の山岳警備隊に電話で連絡して対応を協議しました。幸いにして、中野が歩ける状態であることから、自力で薬師岳山荘まで下山することに。
 また北薬師岳でお会いしたナカタニさんが協力を申し出てくださり、ご厚意に甘えナカタニさんに中野のザックを背負っていただき共に薬師岳山荘に進むことに。
 ナカタニさん本当に助かりました。山で再会できることを願いつつ、改めてお礼を述べさせていただきます。ありがとうございました。
 北薬師岳薬師岳の間はガスとやや強い風の中、細い稜線や岩場などを通過し薬師岳に至る最後の長い上りへ。
 薬師岳到着後はまず休憩と中野のケアを実施。後から聞いた話ですが薬師岳山頂到着後間もなく、CLの携帯電話に山岳警備隊の方から連絡が。こちらから掛ける前に連絡が来たそうです。こちらの状況を把握しての予測能力、流石という他ありません。
 立山への車中で「地図では山頂に卍記号が記されていて珍しいけど、何があるのだろう」という話をしており楽しみにしていましたが、ある意味すごい偶然と言うか、山頂にお堂があり、中には薬師如来が祀られていたため、折立まで全員無事に下山することを願いつつ、しっかり拝まさせていただき薬師岳を後に。

 出発後はやはりガスの中を進むことに。けれども少し進み下りに差し掛かると薬師岳山荘の赤い屋根が目に飛び込んできました。けれども山荘への最後のザレ場は足元が非常に悪く、脚を滑らせないようゆっくり進まざるを得ない状況に。すぐ目の前に山荘が見えているだけにもどかしい限りでした。
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薬師岳山荘までのあとちょっとが長かったです。

 山荘到着後、関係各所への連絡を行い、中野の状態からこの日は薬師岳キャンプ場ではなく薬師岳山荘に素泊まりすることに。
 山荘は7年前に建て替えたばかりとのことで、山荘というより旅館という印象でした。
 この日は夕焼けをみつつ山の上では初めて作る豚汁とちらし寿司に挑戦。正直かなり美味しく出来上がったので、今後の新しいエッセン計画をいろいろ考えていくの楽しくなりそうです。
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食事をしながら見た日没

 偶然訪れた山の上でのお布団で寝るという初めての貴重な体験でしたが、体がシュラフに馴染んでしまっていたのか、個人的にはうまく寝ることが出来ず0時過ぎまで目が冴えてました・・・。
 中野は薬が効いたのか、体温が下がって容態も安定しました。

5日目:8月29日

C4 8:24~8:55 P1 9:05~9:50 薬師峠 P2 10:21~10:44 太郎平小屋 P3 11:11~11:51 五光岩ベンチ P4 12:02~12:23 2011mベンチ P5 12:40~12:53 1904mベンチ ~ 13:10 1870m三角点 P6 13:20~13:45 P7 13:52~14:17 P8 ~15:05 折立登山口 下山

 この日、朝から山荘はガスに覆われあまり視界が効かない状況に。一方、中野の体調は起床時には再び39℃台の高熱になっていたものの、朝食後に山荘の方に頂いたお薬が効き、しばらくすると熱が下がってきたため、薬師岳山荘の方々に挨拶をし、まずは山岳警備隊の方が常駐している太郎平小屋を目指すことに。
 薬師岳山荘の皆様、心を砕いていただきお世話になりました。本当にありがとうございました。
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挨拶後の出発前薬師岳山荘にて

 ガスの中、山荘を出発して間もなく、なんと初日には出会えなかったライチョウの姿が目の前に!先日のプレ夏合宿で訪れた南アルプスでも親子連れを遠巻きに見ることが出来ましたが、今回は単体ながら目と鼻の先で食事を介し。その姿に少しほっこりさせられました。

食事を探して。

 ライチョウに別れを告げ、休憩と水分補給を多めに取りつつしばらく沢を下ると薬師峠キャンプ場に到着。キャンプ場の側に引かれていた水場の水がまた美味しく、しっかり水分補給。また水場の横に併設されていたトイレはなんと水洗!山の上でこれは流石に驚かされました。
 休憩後、太郎平後夜に向けて全身。すぐに木道に差し掛かり穏やかな上りをこなす。先程までとは天候がうって変わり日差しに恵まれたため、心地よい陽気の中、太郎平小屋に。
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食事を求めて。

 太郎平小屋では先日の北薬師岳からの連絡意向、相談に乗ってくださった山岳警備隊の方と合流。山岳警備隊の方は、風邪と高山病を併発していた可能性があった。しかしながら前述のスゴ乗越小屋でどうすべきであったかは非常に判断が難しく、この場合にはどのような判断をすべきだったかを明確に指摘できない。とおっしゃっており、その言葉に山の難しさを改めて思い知らされました。
 山岳警備隊の方から下山までの注意事項を指導していただき、太郎平小屋での十分な休憩の後にエスケープである折立登山口へ。
 山岳警備隊の方、本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 太郎平からしばらくは整備された稜線上であり歩きやすかったため、休憩もしっかりとりながらかなりいいペースで下山開始。折立へのルートは所々にベンチが配置されており、休憩に活用しつつ、滑りやすくなった木の根や岩の突き出す急な下りへ。途中、登ってくる歩荷の方とすれ違いましたが、昨日の山荘のことを思い、頭の下がる思いでした。
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折立へ

 登山口まであと少しのところで、再び中野の体調が急変。CLの指示の下、太田と寺部は先に折立に下山し、太郎平小屋から手配したジャンボタクシーの運転手さんに事態を伝えに。各自ができることをして、ゆっくりではあるものの全員無事に折立登山口へと下山。
 その後、運転手さんに行き先を変更してもらい富山市内の病院へと急行、病院到着後は中野にCLが付き添い、1回生は現地解散に。(追記:中野はその後、病院で治療を受け無事に実家へ帰ることが出来ました。)
 
 今回の夏合宿は大変ながらも北アルプスの景色や縦走を堪能することが出来た一方で、今まで経験したことのないような山の難しさ・怖さを思い知らされるものになったと思います。今回の経験をこれからの山行、そして来年度へと活かしていければと思います。
 
 今回の山行において様々な方々のご協力・ご厚意のお陰で無事全員揃って下山できたことを、
この場で改めてお礼を申し上げます。
本当に、有難うございました。

文責:寺部(一部監修・永井)
写真:本夏合宿参加メンバー