こんにちは。14年度の海老名です。
「なんで、こんな計画を考えたんだよぉ…」
今回の山行中、頭の中に幾度となく浮かんできた言葉です。
重い荷物に、急な斜面、しかも励まし合う仲間はいない単独行。
それでも、歩き続けることで目的地には近づいていきました。
そんなこんなで、様々な思いを抱きながら過ごした1週間の記録です。
【日程】
9月4日(月)~9月10日(日) (5泊6日沈殿1)
【メンバー】
海老名(14年度)
【行程】
3、C2~(西鎌尾根)~C3三俣山荘<5.5P>
4、沈殿
9月4日(月) 晴れ
中房温泉11:55~14:10 合戦小屋 14:28~15:18 C1燕山荘
今回は単独で北アルプスを歩く山行です。単独行への不安や期待を胸に抱き、そして重いザックを背に負いながら、穂高駅にたどり着きました。穂高駅からはバスで中房温泉まで進みます。ハイシーズンは過ぎていましたので、乗客は少なかったです。
いよいよ、中房温泉から登り始めます。合戦尾根を経て燕岳へ向かう道は、今年5月にOBさんと歩いたことがありました。前回の山行を思い出しながら、黙々と尾根を登っていきます。途中の合戦小屋でスイカを食べて、燕山荘までもうひと踏ん張りです。
燕山荘のテン場はだいぶ埋まっており、小屋の中にも大勢の人がいるようでした。今回の山行のために購入したMyテントを設営して、1日目の夜はあっという間に過ぎていきました。
この日は前半の山場です。というのも、喜作新道と東鎌尾根を越えて槍ヶ岳まで至る行程を歩くからです。御来光を見てから、いざ槍ヶ岳へ向けて意気揚々と出発です。天気は快晴で、目標となる槍ヶ岳がはっきりと見えました。そして、最終的な目的地である立山連峰も神々しいほど白く輝いていました。
槍ヶ岳を右手に見ながら、ひたすら歩いていきます。単独行の良さは自分のペースで行動できることであり、休憩のタイミングも思いのままです。
遠くに見える槍ヶ岳
徐々に大きく見えてくる槍ヶ岳
9月6日(水) 雨
C2 7:51~10:51 双六小屋 11:12~13:21 C3三俣山荘
前線の影響で朝から雨です。翌日はさらに風雨が強まりそうなので、この日の行動予定は三俣山荘のテント場までとして出発することにします。千丈沢分岐までは遮るものがないため、風を強く受けました。そんな僕の目の前を、4羽のライチョウがのんびりと歩いていました。風雨でしぼんだ心に少し余裕が生まれた瞬間です。
西鎌尾根は昨年にOBさんと歩いたことがあり、風雨の中でも確実に歩を進めることが出来ました。やはり、「経験」は役に立ちます。もちろん、使い方によっては「過信・油断」につながるでしょうけど。
双六岳の巻道を経て、三俣山荘にたどり着きました。雨の日には、山小屋が見えると安心します。
9月7日(木) 雨
激しい風雨のため、沈殿。
9月8日(金) 曇りのち晴れ
前日が激しい風雨でしたが、幸いにも明け方には止みました。この日は黒部五郎岳を経て、薬師峠まで向かいます。前々日にクマの目撃情報があり、熊鈴を鳴り響かせながら進んでいきます。
出発した時は濃い霧に覆われていましたが、黒部五郎岳に近づくにつれて晴れ間が広がってきました。これも日頃の行いと解釈して、軽快に山頂まで登っていきます。黒部五郎岳の山頂からは、翌日に登る薬師岳を含めて黒部川の源流に位置する山々がよく見えました。
黒部五郎岳の山頂から雲ノ平方面
2日ぶりの太陽もさることながら、次第に減っていく食糧のおかげで気持ちよく薬師峠まで歩いていきます。ただ、足元のゴロゴロとした石は歩きにくいです。
9月9日(土) 晴れ
この日は後半の山場で、今回の山行中で最も行動時間が長い日です。天気は晴れ、荷物はやや軽くなり、体調も万全です。いざ、薬師岳を超えて、まだ見ぬ五色が原へ!
月明りでかなり明るく、これまでにない山歩きを楽しみながら高度を上げていきます。途中で振り返ると、遥か彼方に明るく照らされつつある槍ヶ岳が見えます。この日は日本海側からの風は弱く、山頂までは登りやすかったです。
遠ざかる槍ヶ岳
薬師岳の山頂にて
北薬師岳の岩場を超えて進むと、越中沢岳が見えてきました。一見すると、傾斜が急に見えます。実際に、急な斜面です。とは言え、登るしかないので、登ります。頭の中では「しんどいなぁ」などと言葉が出てきますが、身体は黙々と動いていきます。頭よりも、身体の方が頼もしいですね。
最後は大きくなる立山連峰を励みに、五色が原まで下りていきました。
9月10日(日) 曇りのち晴れ
いよいよ、目的地が近づいてきました。しかし、意外と五色が原と立山の間には距離があります。焦って事故を起こさぬように、慎重に進んでいきます。
残念ながら、明け方は曇りで視界はよくありませんでした。この日も一歩一歩と確実に進みます。そのうち、一ノ越に着きました。何だか「街」に着いたような気分です。
荷物をデポして雄山へ行きます。「まるで翼が生えたように…」とまではいきませんが、重いザックから解放されて早足で登っていきます。(登山者が多いときに強引な追い越しは危険です。少し反省。)
雄山の山頂からは一瞬槍ヶ岳の穂先が見えました。しばらく雲が抜けるのを待ちましたが、変わりそうにないので一ノ越へ下りました。そして、室堂まではあっという間に着きます。
すると、なんということでしょう。雲が消えて、青空が広がっていくのです!う~ん、残念。雄山まで登り返そうかとも思いましたが、この日は休日で大勢の登山者が来ていたので諦めました。またいつか、雄山に登る機会はあるでしょう。その時に、自分が歩いてきた山々を眺めたいと思います。
雄山をバックに
その後は溜まったアカを落として、京都に戻りました。
行動中はとにかく必死に歩きました。無事に終わって何よりです。山行を終えて思うことは、計画・実行できたことへの感謝と、「もうちょっとラクにできたらな」という欲です。装備の軽量化、栄養の取り方、気象判断、身体の動かし方など、「ラク」への道のりにはこなすべき課題がいくつかありそうです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
文責:海老名
写真:親切な人たち+海老名